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伊豆を東西に貫く静岡県道59号 伊東西伊豆線。
しかし冷川峠を始めとして狭路が多く、それによる渋滞を緩和するため、その南に県道12号・中伊豆バイパスが作られました。
さて、その伊東西伊豆線と中伊豆バイパスは 南の奥野ダム付近から、北の本田技研伊東研修センターを結ぶ位置で接続されています。 そしてこの連絡道路をYahoo!地図(アルプス社)やGoogleマップ(ゼンリン社)の地図で見ると・・・ 現道の脇に、細く途切れ途切れの旧道が描かれています。 というわけで、この旧道を北から辿ってみます。 ・・・のつもりでした。でした・・・が・・・。 左の地図の赤線が、地図に描かれている旧道になります。 |
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旧道の北端から侵入します。
まず北部分の拡大地図です。 新たに書き加えた青線は川・沢、黒線は砂防ダムです。 |
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さて、冷川峠から東へ1kmほど下って来ました。一度見逃して先の交差点まで行ってしまいましたが
ここが旧道入り口のハズ。
本当にここか?と心配しつつもガードレールの切れ目より中へ進入すると、 放置された朽ちた資材が行く手を阻みます。 ちなみに地図上で川を跨いでいることから、橋が無い可能性を考え、 初めから自転車を放棄し徒歩でゴー。 |
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資材脇の藪を無理矢理突破します。
ススキの藪と蜘蛛の巣という廃道にはお馴染みのコンボがお出迎え。
雑草もススキも元気な10月、廃探索には最悪の季節!
蜘蛛の巣を払うために手頃な木の枝を捜すのもお馴染みの作業。
この辺り、足元にも金属製の看板が重ねて捨ててあり ベコベコいったり朝露で滑ったりするので、気をつけつつ・・・ とーつーげーきー! |
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道だ!!! 木が切り開かれたそこは、間違いなく道!廃道! 轍が見えないってことは相当古いよなコレ?舗装の痕は無しか。 やっべー、超燃えてきた! そして。 ここが、この廃道探索のクライマックスでした・・・ |
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暫く進むと沢が道を塞いでいるけど・・・あれ、道どこ?
直進方向(写真左側)は沢まで高低差があるので、旧道は右折(写真右側)かな・・・? |
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右手の沢は幅が狭いので、飛び越えて渡れます。
踏み跡がある気がしますが、橋などがあった痕跡は全くナシ。 |
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渡ると・・・既に道の痕跡は無し。
この木じゃ車が通れるわけはないけども、辺りに道らしき痕跡も見当たらない。やべえ。
ここでゲームオーバー!? iPhoneのGPSによると、おおよそ地図通りにトレースしているはず。 なので、少し進んでみればまた道が見つかるかも。 一縷の望みにかけて、倒木を乗り越えつつ無理矢理進むことに決定。 |
![]() | 地図上ではこの沢伝いに南へ道が伸びていたはず。 この辺り、沢の対岸が補強されています。現道はずっと上ですが・・・。 |
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振り返って撮影。
誰が付けたか何のルートか、木の枝に赤テープの目印があります。 大きな石がゴロゴロあり、やはり道の痕跡を見つけることはできません。 写真を見てて気付いたけど、この石が並んでいるところが道に見え・・・見えないよね・・・。 |
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位置的に、沢を渡る橋がある筈ですが、それらしき物は見つからず。
既に無くなってしまっている模様です。
というか本当にあったのだろうか・・・。 それ以前に、橋に接続する道自体が見つからない・・・。 しかし地形的にもこちら側は限界なので、無理矢理沢を渡るしかないなぁ。 沢に降りられそうな場所を見つけ、飛び石を渡り対岸へ。 |
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対岸によじ登ると・・・どーん。
目前に巨岩が横たわっています。 あー・・・ここにはもう100%道なんて無いな! しかし前に進むしかない。地図を信じて南進します。 |
![]() | 暫く進むと左側(現道側)にコンクリの補強を発見。 現道は10m以上も上、沢からも離れているけど、まあ斜面の補強だよね。 少なくとも道の遺構じゃなさそう。 |
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地図にもある2連砂防ダムを確認。かなりの落差アリ。
そして自分が立っている位置こそ地図上の旧道だと再確認。
何もありまへんがな。 |
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現道の七滝橋を仰ぎ見る。
かなり高低差あるなー |
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七滝橋の下、大きな沢が行く手を横切っており立ち往生。
上流側に登ることにより、幅が狭い箇所を発見したので飛び越えます。
ちなみに橋の上からゴミを投げ捨てやすいからか、この辺りはゴミだらけです。 足元にはレコードが。こんな所に捨てるなよ。 |
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沢を飛びこえたところで、いよいよ困った。
進むべき方向には道の痕跡どころか45度以上の傾斜。ここに道があるわけがねー。
そしてゴミうぜー。
やはり、現道の工事などで既に地形が変わってしまった模様。流石にココで断念。 悔しいと言うより、何も見つからない不毛な探索を止めるキッカケが見つかりホッとしたのが本音・・・ |
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地図上でも旧道は七滝橋の南端にて一度現道と合流しているので、
地図に従いここで現道に戻ることにします。
「現道と合流」と言っても、かなり高低差があるので 道としては有り得ないんだけど。 七滝橋の橋台脇の大岩を、およそ5メートルほど無理矢理よじ登る・・・。 (ここで一度滑り落ちかけました。 偶然生きたツルを掴めなかったら何メートル落下してたんだろう・・・。写真はほぼよじ登った後のものです) |
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よじ登った先はまさしく激!藪! 今回の探索で初の激藪区間です。横方向に伸びた丈夫なツタが多いので、 草を引き千切りつつの強行突破が使えない。 ツタ類を手で下に引っ張り、足で踏みつけて道を作る作業を続けること数分。 あっ痛い痛い痛い! イバラがある!しかも手袋を持ってきていないという大失態。慎重ーーーーに進むしかない・・・ |
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無事生還。ほぼ地図通りの場所から現道へ脱出できました。
地図では旧道と現道が接続しるように見えますが・・・
ガードレール越しに高低差は約2m、しかしここは木と激藪の狭い足場であり、
その外側は急斜面で更に下方へ落ち込んでいます。
この地形で「外側」と繋がることは不可能です。
ちなみに外側から現道へよじ登る際、約2mの高さに加え壁面はほぼ垂直で しかも苔生しておりズルズル滑るため、よじ登るのに苦戦することに。 そして苦戦中に数台の自動車が通り過ぎたのですが、 こんな人里から離れた山奥で人の頭だけがひょっこり覗いていていたり、 よじ登ろうとジタバタしていた光景は、 なかなかホラーだったのではなかろうか・・・ |
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さて、もう一度地図を見て見ましょう。現道に合流後、再分岐して更に南へ旧道が続く筈ですが・・・ |
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やはり深いし、道があるようには見えない・・・。
というか進入すら困難。この下に飛び降りて、戻ることは可能なのか?
というわけで、北側からの探索はここで断念。 |
さて。当時は北側のみの探索で終え、中伊豆バイパスの探索へと移ったのですが、
帰宅後に複数の地図とその製作年、そして下流にあった砂防ダムの竣工年度などを総合した結果、
この旧道らしき物は、現道を作るための作業用道路と判断していました。
そして、砂防ダム工事などにより破壊されているため、 もうこれ以上辿る価値も無いかな、と思っていたのですが・・・。 数ヵ月後、ふと気になり図書館にて国土交通省の古地図を確認したところ、 なんと、なんと!なんと!! 明治29年の地図より記載されていた!!! やべー、ちゃんと歴史がある廃道じゃんよ・・・。 (ただ、村道なので徒歩道だった可能性もあるのですが・・・) というわけで、数ヵ月後に再探索を敢行しました! |