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★:現在地 緑線:踏破済 赤線:未踏破 まだ全体の1/4程しか踏破していません・・・。 |
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さて、まずは落ち着いて崩落箇所を観察。
崩落はかなりの幅に渡って続いています。 で、草が生えている部分と生えていない部分があるということは、 崩落は一度ではなく二度以上発生しており、 草が生えていない部分は比較的新しい、と推測できます。多分。 |
![]() | もし落ちたら・・・海面が遠い。20メートルはある。 途中で引っかからなければ即死だよなぁ・・・ |
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崩落地帯に一歩踏み込む。ここはまだ草が生えているので、
つまりは根が張っているため崩れ難い・・・と思う。多分。
目の前の草が生えていない部分は、大き目の石とむき出しの土。 ここに草が生えてないってことはやはり、崩落してからさほど 時間が経っていない気がする・・・。 |
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何も掴まずに安定して立つのは難しい傾斜。
秋に生える頼りない草を掴みつつ、少しずつ前進します。
そして目前には草が生えていない崩落地帯。
高巻きして渡れないかと上を見る。 金属製のワイヤーが見えるが、これは現役時代の 落石防止ネットのものだろうか? これを掴んで体重を掛けたら、恐ろしい崩落を引き起こしそうでダメだ・・・。 片足を乗せてみる。 ガラガラガラ・・・ やばい。見た目より全然ヤバイ。手ごろな大きさの石と、 雨を吸ってもなおフカフカの土。 体重を掛けるとズルリと土が滑り、周囲の石は下まで転げ落ちて行く・・・。 |
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下を見る。ここで滑ったら途中で止まれる気がしない。
道路から飛び出したら掴まれる木も無い。
そりゃここの土砂が木なんて全て押し流しちゃっただろうから。
足で石を蹴り落とし、土を爪先で掘ることで、平らで固い足場を 一歩ずつ作りながら進んでいく。 二本の足だけでなく手でも草か何かを掴んでいないと 非常に恐怖を感じる。 しかしここで掴める物は無く、地面に手を着き掴める物は・・・ 何の支えにもならないこぶし大の石のみ。 |
![]() | 幅数メートルを、たっぷり時間を掛けて横断完了。 草が生えている地帯に辿り付き、精神的に一息つく。 |
![]() | 今渡ってきた崩落を振り返る。 気付いたらかなり高巻きに登っていました。 |
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そして進行方向。今越えたのと同じようなエリアを更に越えなければならない。
上手くトラバースできそうなルートを探し、
草の生えるエリア(心なしか、ここは傾斜も比較的緩かった)を右往左往。
そして、ここで足をとられ・・・転倒。 幸いにして、尻餅をつくような形ですぐ草を掴み、転落は免れたが ここで我に返る。今の今まで、恐怖感とスリルによって思考がおかしくなっていた。 両手を地面についた体制で、冷静に考える。 雨により滑りやすい崩落部を越えるなんて、それはタダの阿呆だ。 そして自分の体のことも気付いていなかった。雨による寒さのために 筋肉が多少強張っているように感じる。というか寒さで歯がガチガチ鳴る一歩手前だ。 体が思い通りに動かないのに、命を掛けるなんてタダの馬鹿だ。 |
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崩落の先、遠くに小さくガードレールのポールが見える。
この崩落さえ越えれば平穏な道に戻るのかもしれないが・・・
その先に更に大きな崩落があったら?
いや、まだ全体の二割だ。あるのだろう。
今決断しなければならない。
恐らく9割以上の確率で、問題なく越せると思う。
でも残り数パーセントの確率で、恐らく死ぬ。
天候や体調の補正が掛かり、この確率は平常より高くなっている。
やり直しは利かない。
引き返そう。 |
![]() | 振り返る。美しい景色。 良く考えたら、ここの数十年でこの景色を見た人なんて 数える程しかいないだろうなぁとか考えつつ・・・ 来た道を、無事に戻りました。 |