西伊豆町 国道136号線 黄金崎旧道3



:現在地
緑線:踏破済
赤線:未踏破

まだ全体の1/4程しか踏破していません・・・。




さて、まずは落ち着いて崩落箇所を観察。

崩落はかなりの幅に渡って続いています。 で、草が生えている部分と生えていない部分があるということは、 崩落は一度ではなく二度以上発生しており、 草が生えていない部分は比較的新しい、と推測できます。多分。


もし落ちたら・・・海面が遠い。20メートルはある。 途中で引っかからなければ即死だよなぁ・・・


崩落地帯に一歩踏み込む。ここはまだ草が生えているので、 つまりは根が張っているため崩れ難い・・・と思う。多分。

目の前の草が生えていない部分は、大き目の石とむき出しの土。 ここに草が生えてないってことはやはり、崩落してからさほど 時間が経っていない気がする・・・。


何も掴まずに安定して立つのは難しい傾斜。 秋に生える頼りない草を掴みつつ、少しずつ前進します。 そして目前には草が生えていない崩落地帯。

高巻きして渡れないかと上を見る。 金属製のワイヤーが見えるが、これは現役時代の 落石防止ネットのものだろうか? これを掴んで体重を掛けたら、恐ろしい崩落を引き起こしそうでダメだ・・・。

片足を乗せてみる。
ガラガラガラ・・・
やばい。見た目より全然ヤバイ。手ごろな大きさの石と、 雨を吸ってもなおフカフカの土。 体重を掛けるとズルリと土が滑り、周囲の石は下まで転げ落ちて行く・・・。


下を見る。ここで滑ったら途中で止まれる気がしない。 道路から飛び出したら掴まれる木も無い。 そりゃここの土砂が木なんて全て押し流しちゃっただろうから。

足で石を蹴り落とし、土を爪先で掘ることで、平らで固い足場を 一歩ずつ作りながら進んでいく。 二本の足だけでなく手でも草か何かを掴んでいないと 非常に恐怖を感じる。 しかしここで掴める物は無く、地面に手を着き掴める物は・・・ 何の支えにもならないこぶし大の石のみ。


幅数メートルを、たっぷり時間を掛けて横断完了。 草が生えている地帯に辿り付き、精神的に一息つく。


今渡ってきた崩落を振り返る。 気付いたらかなり高巻きに登っていました。


そして進行方向。今越えたのと同じようなエリアを更に越えなければならない。 上手くトラバースできそうなルートを探し、 草の生えるエリア(心なしか、ここは傾斜も比較的緩かった)を右往左往。

そして、ここで足をとられ・・・転倒。

幸いにして、尻餅をつくような形ですぐ草を掴み、転落は免れたが ここで我に返る。今の今まで、恐怖感とスリルによって思考がおかしくなっていた。 両手を地面についた体制で、冷静に考える。 雨により滑りやすい崩落部を越えるなんて、それはタダの阿呆だ。 そして自分の体のことも気付いていなかった。雨による寒さのために 筋肉が多少強張っているように感じる。というか寒さで歯がガチガチ鳴る一歩手前だ。 体が思い通りに動かないのに、命を掛けるなんてタダの馬鹿だ。


崩落の先、遠くに小さくガードレールのポールが見える。 この崩落さえ越えれば平穏な道に戻るのかもしれないが・・・ その先に更に大きな崩落があったら? いや、まだ全体の二割だ。あるのだろう。 今決断しなければならない。 恐らく9割以上の確率で、問題なく越せると思う。 でも残り数パーセントの確率で、恐らく死ぬ。 天候や体調の補正が掛かり、この確率は平常より高くなっている。 やり直しは利かない。

引き返そう。


振り返る。美しい景色。 良く考えたら、ここの数十年でこの景色を見た人なんて 数える程しかいないだろうなぁとか考えつつ・・・ 来た道を、無事に戻りました。


黄金崎旧道4へ続く。



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